
今回は、王者の盤狂わせです。
web版の方で人気があるらしく、発売前から広報が頑張っていた事もあって、GCN文庫は今作で初めて手に取りました。
そして、ジャンルは将棋という事で、もちろん名作のりゅうおうのおしごと!と比較する事になるのですが、キャラの描き方や作風、コメディ感が浅くて自分には合いませんでした。
あらすじ
帰宅部の渡辺真才(みかど)は、将棋戦争というアプリで自滅帝として名を馳せるアマチュア将棋指しだった。そんな真才は高校2年から将棋部への加入を決断する。
部のエースである東城美香を平手で破り努力と実力を認められた真才は、アマチュア公式大会である黄龍戦の大将として参加が決まるのだった。
感想
本作は俺TUEEE要素が多めで、侮ってきた相手をぶちのめしてざまぁみたいな見せ方が強い印象でした。
主人公の真才は小学校時代に奨励会を辞めた経験があり、そこで自分に才能がない事を目の当たりにして、ネット将棋に打ち込んでそこで無双状態にあるという経緯でした。
顔は割れてないけど、実力は折り紙付きという状況なので、舐めてきた相手を実力で解らせるという展開になります。
ただ、この流れが安いカタルシスを演出させる為のものでしかなく、毎回同じムーブで辟易しました。
また、相手がテンプレな三下を演じてくるので、噛ませ犬感が強かったです。
あとは、主人公の陰キャ主張も諄く感じました。
話は逸れますが、何でラノベに陰キャ主人公が多く出てくるかを少し考えまして、それは読者目線に合わせる意味合いもあるでしょうし、ハーレム故のバランス取りとか、ヒロインの高嶺の花感を出す為とかなのかなと思いました。
美男美女が恋する話なんて、大してドラマチックではないですからね。
主人公が陰キャなままな話もありますし、陽キャに転身するような成長譚にする事も出来る点でも優秀な設定という見方もあります。
が、行き過ぎた自己嫌悪や自虐や嘲笑は見ていて面白いものではなく、先ほどの薄いカタルシスを起こす為の設定という部分も大きいのかな。
傑作だったのは、元カノという明日香ちゃんですよ。
これは是非読んで貰いたいのですが、ここまでクズな人間もまた逆に清々しくて笑っちゃいました。
将棋の上達の為だけに近付いて、真才の才能を見限って振って、大会で再会したと思ったら開口一番貶しから入って、対局でボコボコにされて勝ちを譲るよう懇願し出すという始末。
しかも、また付き合ってあげるわよとかまで言い出して、どこまでプライド無いんだコイツ笑。もう三下としか言いようがない()
まぁこんな感じで、スカッとする人はスカッとするのかも知れませんが、個人的にはどうしても乗り切れませんでした。
いや、熱いみたいな評判を聞いてた割には拍子抜けでした。りゅうおうのおしごと!を見習って欲しい。
先ほどチラッとハーレムみたいに言いましたが、自滅帝の人気はあるようで、最初は食って掛かってきた東城さんはテラヒラクルーでデレデレだし、ライカさんからも既に好かれてそう。
東城さん、周囲からは強い評判だけど、真才よりはずっと下っぽいのがよく分からないんだよな。
それで言うと、めっちゃ将棋の努力した!という割には勉強もスポーツも出来ます、みたいな設定はどうなんかね。
そりゃ将棋にツッパな真才に勝てる訳ないじゃーん。
来崎さんは、ネット将棋が強い後輩ちゃんで自滅帝ファンでしたが、葵とキャラが被ってる部分もあったような。
1巻なのでまだがっつり評価はしないですが、所々説明不足感があったのも気になりました。
真才が将棋部に入ったのが2年の時なのは何故とか、西地区の大会の参加基準は何なのかとか。真才は全国レベルな筈なのに、大きな大会じゃなさそうなのに、そんな苦戦するか?とか。
一応会いたい人がいるから部活に入った的な補足はあったけども。
そう言えば、りゅうおうのおしごと!は八一がプロ棋士で竜王な所から始まりますけど、真才はアマチュアなんですよね。
それから、将棋の団体戦というのは学生らしく、ちはやふるとか咲を彷彿とさせます。飛鳥ちゃんも団体戦やってたっけ。
真才の陰キャムーブがしんどい一方で、八一のロリコン疑惑は良い落とし所だったなぁなんて事も思いました。
ラノベ歴がある分、白鳥さんのギャグセンスも高いですからね…。
将棋の知識が無くても問題なく読み易い点は良かったとは思いますが、逆にディープな方が興味をそそった可能性もあるなぁ。
あと、真才の挿絵そんなにいらんくないか…? もっとヒロインをこう…。
今回のbest words
アタシの知る陰キャは、こうして目を見て話すこともなければ、自分からお礼なんて言ってこないわ。……印象って、誤解って、怖いのね (p.144 東城)
あとがき
カクヨム発って読者年齢低いのでは…?という説が補強された感じがします。
でも、著者も将棋指しで強者というのは凄い。