今回は、ハルヒ3巻です。(再読)
ハルヒを退屈にさせておくと碌なことがないという事で、あれこれ手を尽くす短編集でした。時系列は憂鬱と溜息の間。やはり笹の葉ラプソディがこの作品らしくて好き。
感想
〜涼宮ハルヒの退屈〜
ハルヒが草野球に参加すると言い出す話。
鶴屋さん、キョンの妹、谷口と国木田を入れて丁度9人。当然の如く普通にやったら負ける訳ですが、長門謹製のホーミング&全真芯?バットによる11打者連続ホームランで逆転し、ハルヒが生み出す閉鎖空間は落ち着きを見せるってな感じ。
ハルヒのキャラクターが野球をするってんで、面白い話ではあるんですが、流石にやり過ぎ感が勝るかなと。
救いと言えば、試合に勝ったものの次の試合を棄権した事で、大会常連の上ヶ原パイレーツに感謝される事ですが、流石に不正を疑えよという笑。そのバットを売ってくれというのが人間らしい。
〜笹の葉ラプソディ〜
キョンが朝比奈さんに頼まれて3年前にタイムスリップする話。
未来人である朝比奈さんにとっては、このイベントを消化しないと齟齬が生じてしまう。というのも、この行動がハルヒを北高へ進学させて、キョン達を集まらせたから。
キョンが3年前のハルヒに会っていて、剰え校庭に謎の文字の白線を引いた事件を幇助していたというのが判明。朝日奈さんがTPDDを無くして困っていた所で、長門と接触して何とか現在に戻って来れたという感じ。
長門が3年前から控えていたのと、キョンが初めて長門のマンションの部屋に行って電波話を聞いた時に、隣の部屋では時間凍結したキョンと朝比奈さんが寝ていたというのが面白い。
因みに、ハルヒの書いた意味不明な文字は、長門ら宇宙人にはしっかりとした意味として伝わっていた模様。
それから、ハルヒが七夕の日に憂鬱そうにしていたのが印象的でもありました。また、彦星と織姫の距離から16年後と25年後の願いを書きなさい!とハルヒが言ってましたが、こういう季節柄のイベントを消費しようとするマインドは見習いたい所でもあります。
コンピ研部長が行方不明だと、彼女?の喜緑江美里が相談に来る話。
これまたハルヒの作ったSOSのエンブレムが、天文学的確率を以って作用し、事件の引き金となっていて、主に長門が活躍してました。
自分一人でも解決出来そうな事柄を敢えて、SOS団を巻き込んで解決させたとも取れる。喜緑さんも朝倉さん的な存在なのかも。
ホームページにアップしたSOS団のエンブレムが元となって、情報世界に飲み込まれた部長を取り戻すという形で、カマドウマと戦うのは斬新でした。
〜孤島症候群〜
夏休み初日、ハルヒの音頭で古泉の親戚が所有する孤島の館に合宿に行く話。
ミステリー風な作りになっている為に、ネタバレにはご用心。名探偵は敢えて事件が起きやすいシチュエーションに身を置くものである。
絶海の孤島であり、台風まで発生してクローズドサークルとなった上での殺人事件。流石のハルヒも殺人までは口で言っても現実に起こるとはってなリアクションで、土砂降りの中フェリーの様子を見に行く際に、キョンの手首を掴んでいたのは不安の現れか。
結論としては、全てが古泉の属する機関が一芝居を打ったという話であり、殺人も起きていなかったというオチ。ハルヒに娯楽を提供するのが目的でした。かなり金が掛かってるよなぁ。
キョンがかなり洞察力と観察力があって裏に気付いたのは流石だったのと、まぁ長門がいる事の安心感でしょうかね。長門だけは一目で被害者は死んでないと察知していた。
ページ数からしたら良い落とし所だと思いました。ワインを飲んで騒ぐSOS団の様子の描写も見てみたいけど笑。
今回のbest words
ところで、キミたちの使ってたバット、いくらでなら譲ってくれる? (p.70)
あとがき
ある意味では、一貫してみんながハルヒの退屈を紛らわせる為に事件を起こす短編群でした。本当ギリギリの所で成り立ってる感がありますね…。