心和のラノベ感想

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ブギーポップ・イントレランス オルフェの方舟 感想

ブギーポップイントレランス オルフェの方舟 2006.4

 

今回は、ブギーポップ14巻です。

神話に準えた話で、少々恋愛が絡むテイストでした。曖昧な部分もありつつ、ブギーポップが大活躍してた印象。

あらすじ

六嶺平蔵は資産家であり、病弱な妻美登里の為に行動している。その一環が〈クレイム・クラブ〉という会合である。その会合は、統和機構への異議申し立てを名目としていた。

メンバーの1人、須磨貞夫には昔窮地を助けたこともある、幼馴染の杉乃浦春海がいた。その他、身体強化の能力を持つティアジャーカーこと相川靖子もメンバーであった。

春海のワン・ホット・ミニットは触れたものを燃やし、美登里のフォーリン・グレイスは触れたものを凍らせる。世界の敵となった者に付き添う者の選択は…。

感想

オルフェウスの神話というのは、綺麗な奥さんを亡くしたオルフェウスが、あの世まで迎えに行ったものの、決して後ろを振り返ってはならないという条件を守れず…みたいな話らしい。その条件は厳しく無茶な条件をだしたのだと。

方舟と言うと、ノアの方舟を想像しますが、これはただ単にシェルターというか、2人だけの空間という解釈が今回の話には合っている気がします。貞夫と春海の出会いも舟が絡んでいた訳で、春海にとっては大事な記憶だったと思われます。

今回の話は、世界の敵と認定された愛する人に対して、その番はどう行動するかというのがテーマだったかなーと思います。結果的には、ブギーポップによって美登里は切り刻まれ、春海は自壊に追い込まれることになりましたが。正に、イントレランス(不寛容)で徹底的に。

正直なところ、春海は何人か殺しているので処分対象になるのは分かるものの、美登里さんは寧ろその能力で人助けしてた面もあるので、世界の敵になっちゃうのかなーという気もしました。先手を打ったと言われればそれまでですが。統和機構側に入れれば標的にはなって無かったのかな。

そして、心臓の病気を持っていた貞夫がフォーリン・グレイスによって生き延びていて、その見返りに〈クレイム・クラブ〉に加入するよう親に話がいっていて、有事の際は六嶺の為に犠牲になる契約があった、というのはよく出来た話だなーと。

そんでもって、触れたものを燃やしてしまう春海と出会った時に、貞夫が触れても大丈夫だったのは、フォーリン・グレイスが作用してたからというのも皮肉でした。触れても大丈夫というのが春海にとっての拠り所であったので。

にしても、この〈クレイム・クラブ〉がもうちょっと過激というか目立って物語が進行するともっと面白かったのかなーとも思いました。ジンクス・ショップみたいな感じで。

今回のbest words

そうだね、ぼくにはわからないだろうね。殺すだけのぼくは、とても不寛容で──心が狭いからね (p.263 ブギーポップ)

あとがき

バッドエンド感が強いんだけど、ブギーポップは大活躍みたいな。

筆者あとがきは、神話は今になっても通用するから残ってるとか、比喩を正しく使おうみたいな話でした。確かに、神話からの引用って小説でも何でも多いよなぁ。