今回は、ウィザブレ3巻です。
この作品の世界観を理解し始めた3巻でしたが、家族愛と恋愛模様と抗えない戦闘とが絡んでとても良い話でした!今のところ3巻が1番好きだなぁ。
祐一が出てきてましたが、メインは表紙のディーとセラ。良い表紙じゃ。
あらすじ
かつての戦友レノア・ヴァレルからの手紙を受け、祐一はシティ・マサチューセッツへと赴く。レノアは、シティの破壊活動を行なっていたが、光使いの能力の酷使から寿命が近づいていた。
マザーブレイン維持の為のWBF(ウィザーズ・ブレイン・ファクトリー)での、特異な能力を持つ魔法士、デュアルNo.33(ディー)は、光使いの魔法士を追う中で、セラという少女に出会う。仲を深めていく2人であったが、セラの正体はレノアの娘であり…。
感想
面白かったです。人間って素晴らしいなーなんて事を思いました。
今回は、親子愛と恋愛がメインだと感じました。親子愛で言うと、レノア(以後、偽名のマリアを使用)とセラですね。本当は愛し合っているのに、自分の先が長くないから死んだ時に悲しくないように、娘に辛く当たるというのは、何やってんだ…と思わなくもないけれども、優しさ故なんだよなと。
そして、セラは自分が母に嫌われていると思いながら過ごすけれども、でもやっぱりマリアを嫌いになれる訳がなく。マリアに記憶障害が起こった時に、マリアの本当の気持ちが聞けた所は本当に良かったなと思いました。追い討ちで、マリアがセラを孕んだ時の独白もまた良い。
恋愛については、セラからディーへの想いもそうだし、クレアからディーへの想いもそう。クレアはディーのお姉さん的ポジションだと嘯きながら、結局隣に居て欲しいという気持ちが強かったんだなーと。最後は、ディーがセラを選んでしまったことで、今後は敵という立場になってしまう訳ですが、生かされたので恨み切れないというところでしょうか。にしても、千里眼とか世界に3人の内の1人とか実はクレア凄い。
マザーブレインの件については、神戸以外のシティでも施策は勿論あるようで。うーん、合成人間をシティの維持の為に使うというのは理にかなっているし、その過程で強い魔法士が生まれれば兵士として登用するのもなるほどなと。ディーは、2つの能力を使えるものの、人を殺せないから不良品扱いという設定が良いですね。
さて、今回の話ですが、丁寧にディーとセラとマリアの話を進めていたので、露見した時の悲しさみたいなのは、より大きくて揺さぶられたなーと思います。仲直り目前の食卓のシーンなんかも。
それから、誰かの正義は誰かの悪みたいなのも感じました。でも、戦う理由や目的を得た人って強いなーと。
今回のbest words
……どんな理想を掲げても、どれほど純粋な心を持っていても、剣を振るえば血が流れ、人が死ぬ。戦いとは、そういうものだ (p.348 祐一)
あとがき
作者の三枝さんって、明るくてお転婆系な女キャラが好きなのでは…と少し思いました。遅刻よ!って言って起こしにくる幼なじみみたいな笑。
セラは生まれながらにしてI-ブレインを持つという珍しい特性みたいですが、今後もディーくんと共に出番があるのを楽しみにしてます。祐一って強いんだな(今更)。