三角の距離は限りないゼロ5 感想

三角の距離は限りないゼロ5


今回は、三角の距離5巻です。

四季が秋玻と春珂を同じように愛すようになって、2人の間でどっちつかずな自分の態度に迷い、一方で、進路をどうするか迷う、そんな葛藤が描かれた5巻でした。

あらすじ

前回の取引によって、四季は秋玻と春珂を同等に愛し接していた。多少の罪悪感と背徳感と共に…。

一方で、年越しを迎え高校2年生としての時間が過ぎていく中で、進路調査の話題になっていく。特にやりたいことを見つけられていない四季は、柊の姉と千代田先生の夫が務める出版社に、職場体験へと赴くことに。

感想

三角の距離は限りないゼロという作品が、清楚で純朴だと考えていた時期が俺にもありました。ということで(笑)、今回は僕の好きな背徳感ラブコメらしい展開が盛り沢山で面白かったです。

四季が2人を好きでいることで、秋玻と春珂がお互いに肯定感を持って、どちらの人格も安定するという設定がいじらしくもありますが、この初めてのことをして、とかあの子にやった事を私にも、とかこういうズブズブ感が堪らない。

キスも身体を触るのも、そして太腿に落ちたバレンタインチョコのパウダーを嬲って舐るシーンなんかも、官能的でした…!

一方で、出版社に職場体験に行く場面もリアリティがあって真剣で、展開的に落差もあって良かったです。こういう所は作者さんだから、勝手が分かってるんでしょうね。

そして、千代田先生のヒロイン力よ。後ろに付いていた短編もそうですが、一担任としてだけでなく、高校時代とのギャップ等が明かされたり、小説の事になると熱くなったり。

今回で、秋玻と春珂の過去の名前についても、こっちゃんというヒントが出てきました。それだけでなく、二重人格が解消された時に、どっちの人格が残るのかというのも次回以降の伏線になりそうです。

小さい頃の秋玻のアルバムを見て、四季が春珂だと見間違えるシーンや、春珂が幼稚園時代の先生に秋玻として電話した時に昔と変わってないと言われたり。

何かこの、秋玻と春珂はどっちが本当の自分なのかみたいな話は、四季の演じる自分も果たして自分と言えるのかというテーマに通ずる所があるように思えます。

そして、四季がどちらかの選択を迫られた時にどちらを選ぶのか…。進路と恋愛の選択、四季の境遇とところのキャラクターの設定、似たような展開があると話の内容が説得力のあるものになりますね。

あとがき

こういう話を読むと、恋愛における誠実さって何なのかと考えてしまいます。それから、本物の恋愛は純愛にならないだとか。

また、高校生と社会人って、そんなに年は離れてないですが、やはり大きな差があるんだよなと思います。経験とか余裕とかだと思いますが、若いうちはモラトリアムを謳歌するのが大事なんだろうなー。

2022.7.30