
今回は、人妻教師が教え子の女子高生にドはまりする話3巻です。
また筆者あとがきが無かったけれども、恐らくの完結巻。逃避行はなく、遅効性の破滅とその合間の仮初な幸せの中で樹は覚悟を決め、しっかりハッピーエンドとして着地してくれて良かったです!
あらすじ
家出をした戸川凛は、せんせぇの元へやって来る。樹は夫に手早く事情を説明し、無期限で家に匿う事に。いつもはどこかのタイミングで途切れる交流も、同居した事で地続きの関係が続いていく。
一時は受け入れた夫ではあったが、徐々に2人の仲を訝しみ始める。そして、キャバクラに行って浮気をして来た!と夫が言った時、樹の胸に去来したものとは…。
感想
ストレートにハッピーエンドでしたね!
夫と2人暮らしの家に不倫相手とも言うべき教え子を連れ込んで生活する模様は、中々にスリリングではありましたが、凛は逆に自分の匂いを染み込ませようとある意味面の皮が厚い感じで過ごしてました。
そして、どこまでいっても樹が好きで心が動く対象は凛でした。30手前にして本当の初恋をした樹の横顔は、夫にとっては自分が引き出す事の出来なかったもどかしさもあったと思います。
というか、夫目線でこの物語を見ると、めちゃくちゃ珍奇なものに映っていただろうと同情してしまいますね笑。
大学時代に出会い、プロポーズして結婚まで漕ぎ着けたのに、淡白で冷めた表情をする樹とはベッドをすぐに別にして、平坦な結婚生活が4年ほど続き。
別段仲が悪い訳でもないのですが、決定的にすれ違っているのを見て見ぬ振りをして、姑息にも存えてきた関係というか。
それが、家出して来た教え子を数日泊めるという話から、その仲睦まじまさと、今まで見た事ない妻の柔和な表情や積極性を見て、不倫相手だと感じ取る。
いや、よりにもよって相手が女の子で10歳くらい下の教え子?!ってなるよ笑。何かもう不倫って言って良いのかも分からないけれど、状況的には不倫なんだよなぁと。
しかも、法律にも抵触しかねない話?だし、あんな大人しくてお淑やかに見えていた妻がこんなに大胆な事を…って驚いた事でしょう笑。
そんな状態なので、夫がキャバクラに行ったと報告したとしても、何も靡かない訳です。切ない。夫は何も悪くないのに。
何せ、どんな時も樹は凛を基準に物事を考えるようになってしまっているし、最低な母親からの庇護欲も含めて、凛にとってのママであり、恋人であり、いつでも側にいたいと思っているから。
もうこちらとしても、抱きしめ合うのが当たり前の関係性なんだなーって。
という事で、樹は夫と共に夫の実家へと出向き、離婚の報告をする所まで進みました。あぁ、きっぱり縁を切るんだなと。
嫌味な義母は奇しくも凛の母親みたいなねばっこさや、悪ノリテンションでしたが笑、結局はエピローグのタイトルがそのままという感じでした。
人妻でも教師でも教え子でも女子高生でもなくなった未来には、それでも固く縁が繋がっている樹と凛がいて。
正攻法で、ちゃんと上手くいったんだな〜と微笑ましくなりました。警察は来なかったんだろうな…。
教師を辞めて居酒屋のバイトになるとは思ってなかったけど…、夏祭りで仮面で顔を隠すような事をしなくても、人目を気にせずどこでも堂々と付き合っていられるようになったのは良かったのだと思います。
戸川凛との出会いは、樹にとっての破滅ではなく意味のあるものだったのだとポジティブに捉えられるラストだったのかなーと。
そして、入間人間作品と言えばクロスワールドなのですが、樹の旧姓である前川は、電波女と青春男の前川さんと親戚という設定らしく!、お酒について語っているシーンではフフフとなりました。
直向きで只管な純愛が、そのまま一直線で実っていくストーリーもまた楽しめました。淫乱教師と開き直ったからこそ掴めた幸せ。
今回のbest words
ただい……ただいまえかわさんっ (p.352 凛)
あとがき
やっぱり安達としまむら以降の入間さんの文章はとても文学的というか、ラノベっぽさも残しながらも、平均的なラノベの文章とは一線を画す文章力を持っていると感じます。
とても良きシリーズでした。