デート・ア・ライブ11 鳶一デビル 感想

2014.9

今回は、デアラ11巻です。

最後少し駆け足な感はありましたが、シリーズの中では1番面白いと言っても過言では無い巻でした。まさかデアラで過去改変してしまうとは。

あらすじ

反転した折紙が天宮市を蹂躙する中、士道の元に現れた狂三は、【十二の弾(ユッド・ベート)】によって士道を5年前に転送する。折紙が絶望する出来事を無くそうとするが、一度目は失敗。しかし、当時の狂三と接触し、能力の重ね掛けをする事で再度のチャンスを得る。

折紙の両親を庇った士道は、気付くとそこは元の世界であった。しかしながら、元の記憶と折紙との間にだけ齟齬が見られ、加えて折紙は無意識の内に精霊を倒す精霊〈デビル〉である事が判明し…。

感想

折紙に纏わる上下巻が完結。丁度ハルヒを読んだばかりだからか、上書きされて無きものにされた記憶があるという展開、歴史の修正力なんかを感じながら読めて面白かったです。

また、折紙がなぜ士道に拘るかの理由も済し崩しに分かって良かったです。というのも、1回目に5年前に戻った士道が、折紙の絶望する理由を目の当たりにした際に、慰めたという経緯があったからなんですね。

その時に、俺に全てをぶつけろ!的な発言をしていて、それが理由で折紙が感情を封印して無表情キャラになったという。依存心。

そしてこれまた面白いのが、その時の士道が七罪の能力を自らに掛けて当時の年相応の見た目をしていた所。だからこそ、齟齬なく折紙は士道を認識出来てたんだな。

逆に言うと、2回目のやり直しで折紙の両親を士道が庇った世界線では、折紙は庇った人物を士道の兄という事で処理していくんですよね。実際は、庇ったタイミングで狂三の効果が切れたのか、士道がほぼ不死身だったから生き残ったかは謎ですが。

因みに、折紙の両親が生存したルートでも、結果的に1年後に2人は事故死してしまったらしい。こういう所は修正力が働いているんだなと。ただ、あの場面で親が死なない事で折紙の心境は変わってくる。

と考えると、5年前に琴里が精霊になるのも規定事項だったりするんでしょう。

と言っても、折紙は目の前で士道が死ぬシーンを見てしまっているという事実は変わらず、変わった世界でもASTには所属していたらしい。

しかし、変わった世界の折紙は感情がマシマシであり、普通の女の子っぽい仕草があって、普段とのギャップで可愛かったです。デアラの代名詞であるギャルゲー選択もあったのも良かったです。

なんですが、別の世界線の記憶も折紙の中で混濁していて、無意識に精力剤に手が伸びたり、士道のスプーンを舐めてしまったり、犬耳スク水に着替えていたりしてたのも面白かったです。いや、普段のオリガミさん尖り過ぎw

そんな状態の折紙は、結局士道の精霊現象を見た事で、これまた無意識にデビルになってしまいますが、過去改変の記憶の残滓も手助けした事で、士道が封印に成功する形で大団円となりました。

さらに、士道とのパスを通して無い筈の記憶が共有され、元通りに。折紙が士道への想いは愛じゃなかったのかもと発言したのは衝撃でしたが、それを乗り越えていつも通りになったのも一安心。精霊への嫌悪感も薄まった感じでした。

何だかんだ十香と折紙がお互いを名前で呼び合うようになったのも微笑ましい。士道も主人公してたなぁ。狂三にとって今回は、結果として過去を変えた士道の行動とその意味が、自身の能力に対しての1つの好材料になったのではないでしょうか。

にしても、構想が固まってた話だからか凄くすんなり話も通っていた感がありました。

今回のbest words

──ありがとう、十香、みんな。私のために、戦ってくれて (p.312 折紙)

あとがき

表紙の折紙の微笑みもエモですが、後半のカラーページ見開きもまた。折紙の笑顔は貴重ですよと。

厚手マット紙ちゃん()