涼宮ハルヒの驚愕(後) 感想

2011.5

今回は、ハルヒ11巻です。(再読)

少し冗長気味だったり、敵方の侵略地味た動きが多かったので、面白さが減ってきた感もありましたが、後日談辺りを読んで、ここまで来たかぁという感慨深さもありました。

勿論、謎がまだ残っているシリーズですが、SOS団の帰着としては最終回とも呼べそうな大団円だったと思います。

あらすじ

新入団員となったヤスミが快活に振る舞うαルートと、佐々木へとハルヒの力の遷移を企む橘京子、藤原、周防九曜に振り回されるβルート。その行き着く先は、やはりSOS団の部室で…。

αとβの分裂が終了した時、キョンの脳内にはどちらの記憶も残留していた。その現象は、藤原の予想を裏切るものであった。

感想

この話は、SOS団の結束がより強くなったという話であり、キョンが佐々木ではなくハルヒを選んだという話だと思いました。とは言え、佐々木は何か行動を起こす前に終わっていて、寧ろハルヒががっちりホールドしていたとも言えるのですが笑。

というのも、分裂を起こしたのはハルヒが原因とのことだったから。ハルヒの力が弱まってるという話は何だったんだ!と言わんばかりの、捻じ曲げ力というか修正力というか。神人を味方に付けるような動きもありましたし。

やはり無自覚無意識とされていますが、キョン長門の危機を回避する為のαルートだった模様。一時避難のシェルターみたいなイメージでしょうか。

そして、ヤスミの正体もハルヒが作ったものであり、何ならハルヒそのものみたいな存在だったらしい。どうりで突拍子もなく凄いことをサラッとして退ける訳ですが、そう考えると、MIKURUフォルダに気付いてたのか…?という。分かりませんが。

もう一つ言うと、その積極的な行動からキョンの家に来るシーンもあって、これは丁度佐々木のシーンの対になる場面であり、ハルヒでは言えないような事も言ってたのが印象的だなぁ。

事後的には、ヤスミは中学生だったから新入部員としては参加出来ない事になり、姿を消すのですが、朝比奈さんは大分気に入ってたみたいで、普段と逆の立場で面白い。棘がない単に明るく可愛いハルヒと思えばそうなんでしょうけど笑。

あとは、藤原の思惑を外したのは爽快でした。コイツはずっと気取って嫌なキャラクターとして描かれてきていたし、ハルヒを殺そうとしただけで大ギルティーである。

ただ、気になる事を言っていたと言えば、朝比奈さん(大)を姉と呼んでいた事。もしやコイツは朝比奈さん(大)を救う?為に戦っている主人公的存在なのか…?

現代人に悪いイメージが付く何かしらの出来事を経て、今の歪んだ性格になったとしたら、この辺りも今後フォローして欲しい所である。

京子はひっそり暮らし、九曜は長門へのコンタクトは止めたもののまだ地球にはいる模様。そもそも、九曜の出現もハルヒによるものだったんだろうか。

それから、部室での騒動の後にキョンが時間移動に巻き込まれた為、まだ回収出来てないストーリーがあるんだよな…。SOS団1周年のハルヒへのプレゼントとは。

あとは、国木田がやけに達観してたのが少し気になったかなと。そんなに描写が多い奴ではなかったけれど、鶴屋さんを目指している発言や、鋭い洞察力は何かに影響されたのかなーなんて。

今回のbest words

なーんて、実はただ先輩の部屋に一人で来てみたかっただけなんです。おじゃましてすみません。でもすっかり満足しました。あたしはもう来ません (p.49 ヤスミ)

あとがき

大学生になっても、ハルヒの隣にいるのはキョンなんだろうなぁ。ハルヒの寝床に急に飛ばされながら、割とハルヒは落ち着いてたからね。

因みに、初回限定版冊子に収録のRainy Dayは中学時代のキョンと佐々木の話でした。この距離感が良くて、プールの授業中に進路の話をしたり、恒例の連れ立って向かう塾の途中で雨に振られたりという感じ。

雨で制服が透けてしまう佐々木の何とも女子らしさが堪らんと言わせていただく。キョンの口癖である「やれやれ」は実は佐々木発祥らしい。