心和のラノベ感想

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美少女とは、斬る事と見つけたり 感想

美少女とは、斬る事と見つけたり 2015.8

 

今回は、『美少女とは、斬る事と見つけたり』です。

また異能ものの新作。打ち切りが目に見えている中で読むのは不安しかなかったですが、それなりに面白かったので、ちょっと残念でした。

あらすじ

春日透は両腕の機能を失った事に加えて、その容姿により周りから親切にされる立ち位置を確保していた。その透には別の顔がある。自身の斬った物を透明にする超能力から、享楽的な殺人を営んでいたのだった。

明神明は、姉の陽をこよなく愛する中学生で生徒会長である。夜更け外に出て透に襲われかけた陽を庇って傷付いた明は、透の能力により透明人間になってしまう。それから、明は直す方法を求めて、透に付き纏うことになるのだが…。

感想

ここまで様々な入間作品を読んできて、その特徴として、快楽さや痛みの描写やキャラクターのゆるい掛け合いに長所を持っている一方、そのゆるさ故に設定に強固さや説得力が欠けたり、伏線を回収し切らなかったり(打ち切りによるものもある)、男キャラを主人公にすると総じてヘタレキャラになったりが短所かなーと思っています。

その中で、異能ものをやるというのがそもそも設定面とかで大丈夫かなぁと思っていましたが、トカゲの王と比べて能力が分かりやすかったのは良かったです。

ただ、序盤はキャラに馴染む前にコロコロ視点が変わって、読みにくさがあったのは気になりました。途中からは、斬った物を透明にする透と、斬られて透明になった明の鬩ぎ合いだと分かって、そこそこ楽しめました。

特に入間さんらしくて良かったのは、明のキャラクター。明神明(みょうじん あきら)という名前からして好きですが、この明は変質的に偏執的に姉しか見えてないという。現実にいたらただのやばい奴ですが、小説だから笑って済ませられる。

因みに、明神姉弟の名前の読み方はどちらも"あきら"らしいけど、中々に両親が強気な名付けをしたもんだな…。

よく考えると、外面をよくしているのは透も明も同じで、境遇はまぁ対照的になっているんだろうなと思う。名前からしてそう。透明での奇襲は強い。

透については、自身を透明にするのは怖くて出来てないようで、マントとかを透明にしてその中に身を潜める事で、外から見えないようにして殺人を繰り返していた模様。

トカゲの王との関連性としては、時系列が少し後の世界なのかなと思いました。超能力がある事は世間的に知られているけど、まだ個体数は少ない的な。しかし、最後で明たちのいる街は人工能力者ばかりという事実が出て来て、そんな兆候あったかなーと思いつつ、2巻が無いから何も広がらず…。

田沼については、外から来た金属を操る?能力者でしたが、透との戦闘の結果死亡。透の戦地となった家を透明にするという戦い方は斬新で良かったです。透の祖父普通にしんだけど笑。

というか、陽の能力って何だったの…?

今回のbest words

遅れたけどわたしは田沼ッス。田沼葉子。田沼は意次の田沼ッス (p.152 田沼葉子)

→入間作品の『ッス』キャラは死ぬ運命なのか、、、

あとがき

タイトルについて、何か聞き覚えがあったのですが、葉隠の『武士道と云うは死ぬ事と見つけたり』の捩りかな? それに沿うと、殺人衝動の娘の話としては合ったタイトルかなと。

筆者あとがきが短くて、しかも普通にいけば2巻が出ると言い残して2巻出てないの闇が深過ぎるって…。