今回は、A/Bエクストリームです。
第8回電撃ゲーム小説大賞〈選考委員奨励賞〉受賞作。受賞時のタイトルは、エクスターミネーターA/B。作者の高橋弥七郎さんと言えば、灼眼のシャナで有名ですが、今作の方が賞を獲って先に出版されているというのは、意外と知られてないのでは。
痛快娯楽アクションと筆者あとがきで称されていましたが、バトル多め+SFチックな設定が多い感じでした。ふと、SAOのムーンクレイドル辺りを思い浮かべたり。
あらすじ
ディビジョン駆除商会のエクスターミネーターA/Bこと、アンディとボギーは異次元空間〈ゾーン〉に巣食う害獣〈グレムリン〉を退治する任を負っていた。
ある時、依頼された巨大資源採掘船〈エンペラー〉に発生したグレムリンの駆除と2人の重要人物の救出に向かうアンディとボギーらであったが、そこには思いもよらぬ陰謀が渦巻いていた…。
感想
正直に言ってしまうと、かなり読みづらい作品でした。いい意味でラノベらしいとも言えるのですが、圧倒的に設定の理解が足りないままストーリーが進行してしまうので、理解が難しい。
ただ、読みにくい中でも、人間ドラマ的な部分や二転三転する展開など、ストーリー構成自体はしっかりしていて、エンターテイメント性や勢いを感じる作品であるのは確かかと思いました。
あらすじはほぼパクってしまったんですが、大枠の理解としては、〈ゲンセ〉の他に宇宙ならぬ〈ゾーン〉が発見されて、そっちに色々な施設を移行するんだけども、そこには魔獣が潜んでいて、それを始末する2人が今作の主人公だと。しかも、その2人はそれぞれアンドロイドとサイボーグらしい。
そしてこの優秀な2人が、とある任務で女性と博士の救出に向かい、最初は博士がグレムリンの制御の実験で暴走して…みたいな話だったのが、実は女性の方が側近に唆されて利用されていて、最終的に側近の陰謀を阻止する、みたいな話かな。
そんな訳で、銃弾飛び交うアクションものでありながら、でも最後は人間の悪い部分での戦いというか、勧善懲悪というか。アンディとボギーも、終盤に因縁の者同士?っぽい事が判明しますが、そこはよく分からない…。タイトルの意味がすぐに分かるのは良い。
面白かったのは、ディビジョン駆除商会の癖の強いキャラ達の会話ですかね。とっつぁんの外見なんかもインパクトが強い。何かこの辺りは昔ながらの度の外し方って感じがしました。
今回のbest words
伊勢エビとようかんは合わないんでは? (p.38)
あとがき
個人的に苦手なジャンルで読みにくさはありましたが、0から1を生み出して1つの物語にする小説家は凄いなぁと改めて思います。
巻末の設定資料集を読んだからと言って、全て納得とはならず…笑。