円満家庭の人妻が娘の友達にドはまりする話 感想 ★★★★

2026.9

今回は、円満家庭の人妻が娘の友達にドはまりする話です。

前作の人妻教師と教え子の関係性から、また一歩背徳を強めた百合作品が出てきました。読むと立場が逆な気もしつつ、1巻は序章でしかなく、沼に片足を突っ込みつつあるという事なのかも知れませんが…。

塊の境遇が少しベタに思いましたが、地平家のおどろおどろしさ、狂気さ、気味悪さ、常軌を逸しながら日常に鎮座する倒錯感なんかは、みーまーを書いてきた入間さんらしいのかなぁとも感じました。

あらすじ

雨宮雪(せつ)はデザイン会社勤務で、14歳の娘を持つ母である。夫は大学生の頃からの仲で、家賃収入に加えて愛犬マロンとおにぎり屋を切り盛りしている。

雪が娘の同級生の地平塊(かい)と面識を持ち始めたのは、塊が風邪で休む娘にプリント類を持って家に現れた事がきっかけだった。地平家とはさして近くない筈であったが…。

感想

先述の通り、38歳人妻の雪が14歳の塊にドはまりする話というより、塊が雪を大好きで近付いていって、雪がそれに付き合っているという趣が強かったです。

付き合っているというか、付き合わされているというか、塊の黄緑色の瞳に魅入られて、蠱惑されて、離れ難くなっているというか。

その黄緑色の目に引き込まれる感じは、スピリチュアルで哲学的でもあって、理由のない何かに突き動かされているようで面白かったです。

多分それは恋の衝動に似ているようで、別の何かでもあって。

ただ本筋で言えば、いや寧ろ建前になってきているのかも知れないけれど、塊が家で虐待のような暴力を受けている事に対しての、庇護というのが名目というか、雪の行動の前提にありました。

因みに、雪もまた地毛が金髪で苦労した過去があったようで、庇護欲が常人よりも強めというのもあるかも知れません。いつの間に居なくなった過去の野良猫の経験もその思いに拍車を掛けているかも。

虐待からの庇護としての交流と言うと、本来は警察沙汰な問題でありつつ、そこは地平家なので、この行動は正しいように思えます。

雪は善人として流されているだけで、塊が言うエロおばさんというのも、こっちの沼に引き摺り込もうとして言ってるだけな気もしますし。

エロいが最上級の好意というのは、間違いでもない気もする。

しかし、仕事終わりに家族の元に戻らずにホテル暮らしの塊の元へ寄って行くのは、そのまま通い妻ムーブではあるんですけど笑。

また、前作では夫婦間に子供は居なかった一方で、今回は14歳の娘がいる事で、少し背徳感が上がっている感もありました。

にしても、二回り年の離れた百合作品って凄い話だな()

一応、塊の好意を受けても雪は靡かず、距離を置こうという意思を見せて1巻としては幕を閉じたものの、塊の可哀想さを全面に押し出されると、雪は断り切れなくなりそうだなぁという懸念がありました。

利発そうで少し生意気な塊は、その実、平均よりもか弱くて小さい、触れれば折れてしまいそうな女の子でしかないので…。

いや寧ろ読者としては雪が絡め取られていく方が面白いかも笑。落ちていく姿を見たいというような。

実際のところ、指を舐めさせて、膝枕と耳かきをして、不意打ちのキスをされて、サンタの姿で部屋へと向かい、果ては足が舐めたいと言われて舐めさせたりと、箍が緩んできている節もありました。

塊の黄緑色の目は雪にとってギアスか何かなんですかね笑。

優先順位がバグり始めて、世話を焼くのレベルを軽々と凌駕していく。

にしても、足を舐めてる挿絵を依頼するのどんな感じだったんだろう…笑。

そんな関係にあって、それでも塊をカイと呼び、雪はユキさんと呼ばれ、意味のないような名前がお互い呼び合う事で特別になるような関係は美しいとも思いました。

急に出てくる素直さやしおらしさや、自分が頼られているという感覚が沼でもあるけれど。

体裁的に勝ち目というより勝負にすらなっていない塊ではありますが、一方通行の愛がどのように円満家庭の人妻を歪ませていくのか、怖いもの見たさで次回も注視したいです。

確かに、まず仮住まいを失った塊をどこに住ませるか問題は勃発しそうで…。

 

今回のbest words

ユキさんに呼ばれると、なんだか……悪くない名前に思えてくるから不思議ですね (p.183 塊)

あとがき

地平家、塊の父と名乗る人物が7人ほどいて、どの男が妻を孕ませたのか分からないとか言っててゾッとしました…。怖過ぎる。狂わずに居られない環境。

塊の姉として、初恋相手〜に出ていた潮の他に殻もいるらしいけど、相変わらず女好きという特性があるらしい。遺伝子を残さない方が良いという配慮なのか。