
今回は、弱キャラ友崎くん12巻です。
11巻のあとがきで、2ヶ月くらいで次の巻が出そうと言っていてから2年半、しかもXの告知で急に最終巻と言われて出た12巻。
このシリーズが好きだったからこそ厳しい事を言うと、12巻は面白く感じられませんでした。2年半待って。
とかく言える事は、菊池さんと心中した結果、物語が狭まってしまったのかなぁという感じでしょうか。上手く言語化できるか分かりませんが、モヤモヤが残り微妙だった12巻への感想を残していきたいと思います。
あらすじ
日南が学校に来なくなってから数ヶ月が経った。菊池さんの書く『純混血とアイスクリーム』は解像度の高いナマモノであり、だからこそ魔王討伐への期待があった。
原稿が行き詰まった菊池さんは、GWに単身アンディが度々訪れていたという瀬戸内海の凪島に向かう。しかし、ナイーブになる菊池さんを見かねて、友崎もまた菊池さんの滞在する島に駆けつけるのだった。
感想
日南に立ち向かうまでの島での出来事が冗長に感じました。
序盤こそ、水沢やみみみが出てきて、各々の感情を小説でカモフラージュして、暴き曝け出させるという残酷な事をやっていて、そこは面白かったです。
いや、みみみに友崎への恋の未練を断ち切ったように見せたのは少し首を傾げるけれど。
それでも、これまで見てきたキャラクターが動いているのは単純に嬉しい部分がありました。たまちゃんの従う歪みながらも直線なヒーロー感とかも。
ただ、アンディのルーツを辿って瀬戸内海の凪島を訪れた場面では、周りを知らないキャラクターが囲み、ポッと出の祭りが行われ、小説では伝わりづらい色をモチーフとした会話がやり取りされて。
さらに、菊池さんは創作に行き詰まり続けるので、全体的に暗いムードが漂う。
というか、菊池さんって子供に話しかけるような性格だったっけ。
まぁ菊池さんの小説への向き合い方とか、アンディのルーツに迫るとか、実地で感じる事の大事さとか、そういう面でのストーリーはアリだとは思うけれど。
でもそれを最終巻のエピソードにするか?というのは少し疑問符が付きました。
最終巻と銘打たれた12巻、その意味合いは日南の救済という一点であるのは理解できるのですが、友崎周りのキャラクターをもっと生かす事はできなかったのだろうか。
そもそも論、日南に似たモチーフの物語を読ませれば立ち直らせられる!というのが誘導されているだけというか、破綻しているようにも思える。みみみの言う通り。
弱キャラ友崎くんというシリーズは、中盤以降、結構こういう作中作品を用いてストーリーを進める手法を用いてきていましたが、今回は特にその場凌ぎ感や力技感が否めませんでした。
物語を読ませる事は、作者のこうしたいの押し付けだという事に気付くまでは良いとして、その後に出来上がったものも、別に日南を動かすレベルだったとは到底思えなかったというか。
物語に縋って頼って、行き詰まって煮詰めれば煮詰めるほど空虚に、陳腐に感じて。
菊池さんと心中した事の限界値なのかな。
小説を読んで、似た境遇のキャラクターに感情移入するという通常の流れを、意図して逆にしてる訳だしな…。
それから、何か地動説と天動説と楕円みたいな話もよく理解できておらず、結果として強引に着地させた風にしか感じませんでした。
渚が亡くなった事の罪悪感、自責の念はそれはそれとして、自分を許して好きになれたらそれでハッピーエンド?
もう投げやり「おにただ」がただしんどかった。
これだったら、友崎の「俺がなってやるよ。お前にとっての渚に」発言で、本当にメインヒロイン日南の逆転勝利くらいの衝撃があった方が個人的には良かったと思います。
菊池さん派閥に総スカンを食らいそう()
でも、もうちょっと日南に掛かり切りな友崎に嫉妬するとかさぁ…。
押しても引いても梃子でも動かない日南に対して、最後はぶつかっていく方が展開として説得力や納得感があった気がします。
作中作に逃げたように感じたので…。
このシリーズは陰キャが陽キャに生まれ変わってから始まる物語で、メインヒロイン?日南の謎が全然明かされない所に面白さや斬新さがあったんだよなと振り返りつつ。
作中の菊池さん同様、作者も難産だっただろう事が予想できますが、ラブもコメディもゲームらしさも消滅して、よく分からないものになっていたと思いました。
2年半経つとやっぱ鮮度も落ちるし。
そりゃ最終巻出してくれて嬉しい気持ちにもなるけど、待った甲斐があったと思わせてくれるだけの何かがないと、ね…。
今回のbest words
物語で人を救うって、ちょーっと夢見すぎ! (p.28 みみみ)
あとがき
135pの挿絵、ミツさんを何で採用したんだよ…。絶対その後の湯上がり浴衣菊池さんを発注すべきだっただろうに。
日南は勝手に救われたので、その他のサイドストーリーがまだ刊行するかも?らしい。うーん、この畳むべくして畳んだ最終巻を見て、ちょっともう良いかな…って感じです。