千歳くんはラムネ瓶のなか2 感想 ★★★★

2019.10

今回は、チラムネ2巻です。(再読)

七瀬悠月回。クールで人との距離を少し取るような、人見知りというよりかは賢く生きてるといった感じで、朔ともタイプが似ていると言われるヒロイン。あと、実はバスケ女子。

悠月への付き纏い事件に対して、スマートとは言えないながらも、等身大な解決に奔走する朔の姿が印象的でした。警察使わんのかい。

多少ミステリチックに、犯人候補が二転三転するという要素もありました。

あらすじ

ストーカーの気配を感じ取った七瀬悠月は、朔に偽の彼氏になって欲しいと頼む。

そうこうしていると、悠月の制汗剤が盗まれたり、図書館での勉強会でヤン高の不良生徒に出会したり、バスケの試合当日にシューズが紛失したり、家のポストに見知らぬ写真が投函されていたりと、事態はエスカレートしていくのだった。

感想

DQN相手のルールが通じない相手との攻防は、少し気分を害する場面もありましたが、1人の普通の女の子が恋に落ちるには、十分足り得る事件だったなーと思います。

徐々に事態が悪化していく模様にはハラハラもしましたが。

また、文章が読みやすくストーリーや会話も一定水準以上のものがあるのは勿論、今回は悠月がメインながらも、事件を通してしっかりと各々のヒロインの見せ場や可愛いさも見れたのが良かったです。

このラノ殿堂入りも納得のレベルの高いラブコメラノベを読んでいる、という感じ。

事件に関しては意外と複雑で、まずヤン高の不良の柳下先輩という人物が悠月を付け狙っているという状況がありました。可愛いというのも考えもの…。

この柳下先輩というのが、前に悠月に目を掛けて男女の関係を強要させようとして、暴力で従えようとした人物でした。

いつも剽々としている悠月ですが、過去にそんなトラウマがあったんですね…。クール美少女が陵辱されるエロス的な?

次に、ミスリード的な存在だったのがクラスメイトの綾瀬なずなでした。これは仲が良いのか悪いのやら…。どっちかと言うと、なずなが悠月に憧れているって雰囲気なのに、言葉選びがまずいというか。

最後に、何でコイツ出てきたんだろう…?って途中まで思ってた成瀬智也。爽やかな好青年といった佇まいで、悠月を恋愛対象として狙うが為に朔に接触してきた人物でした。

成瀬は悠月を好きながらも自分からは全然動かないので、事態に介入する朔との対照として、奥手は恋愛においては悪手という共感で終わるのかなと。

そう思っていたら、成瀬がストーカーやら、盗難やら、ポストに隠し撮りの写真を入れた犯人だったようです。

まぁ、DQN集団はまだるっこしい事しないよねとか、藤志高校での事件がいくつかあったから内部の人間が何かしら関与してるよねとか、ヒントはあったのですが。

でも、こういうねちっこい輩がいたからこそ朔が輝く結果になったので、全体としては良いかませ犬だったのかな笑。初手の健太への扱いで命運は決まっていた()

それから、気落ちした悠月が朔の家に来るシーンでは、朔が蕎麦やら料理を作ってたのが、出来る男でした。一人暮らしなのは、両親の離婚絡みだとか。

でも、今回の朔は無くなった悠月のシューズを発見したり、夏祭りで金魚を掬ったり、窮地に駆け付けて、柳下先輩に殴られながらも最後はやり返してたりと、主人公してました。

女子の為とは言え、DQN相手に突っかかっていくのは勇気がいるなーと。極端な話だけど、今回の一件もリア充故の苦難みたいな一幕かなぁ。

にしても、偽物の恋が本物の恋に変わるなんて、ロマンチックじゃないですか〜。

何でもそつなく熟せていると信じていた悠月が、愚直に他人の為に動ける朔に憧れるのは必然だったに違いない。

今回のbest words

はよしね (p.51 優空)

→福井弁かも知れないしそうでないかも知れない

あとがき

嫉妬して手を繋ぎたがる夕湖は正ヒロイン感ありましたが、何か優空が正妻感強いのは感じます。2人共に朔が傷付いて欲しくないって思ってるのも優しい。

朔の田舎で出会った少女は、明日姉説ありますねぇ。