〈卵王子〉カイルロッドの苦難⑧ やさしさは風の調べ 感想 ★★★

1994.10

今回は、〈卵王子〉カイルロッドの苦難8巻です。

最終巻目前にして、謎も大分明かされてきました。あとは、残すところ移籍地がどんな所なのかと、"あの方"だけですが、その姿は杳として知れず。

あらすじ

イルダーナフが大神官である事が明るみに出て、《第二の神殿》への移動準備が進んでいく。しかし、レヴィの母キアラは今の神殿を諦め切れず反旗を翻すのだった。

準備期間中、カイルロッドはセリの案内で、神殿最奥の「特別の部屋」を訪れる。そこは、カイルロッドと同じ容貌の男が亡くなった場所であり、これまでの神殿の記憶が残る場所であった。

感想

神殿周りの悪事大体キアラじゃねーかっ!笑

ゼノドロスが次々と事実を喋っていく様子は滑稽でもありました。街の放火未遂に始まり、トパックの母と弟を賊に殺させ、トパックの右腕を失わせたのも、夫を毒殺して記録を改竄まで出るわ出るわ。

レヴィの為と言いながら、よくもまぁここまで抜け抜けと罪を重ねられるもんだなぁ。と言っても、物語上、そこそこ最近出てきたキャラクターに罪を被せまくってるようにも見えるのが微妙な気も。

愛は美しいものと醜いものの表裏一体みたいな発言も出ていましたが、レヴィにはぜひキアラ達を最良の反面教師として欲しい。ま、見た感じ大丈夫そうでしたけど。

因みに、ゼノドロスは言われてやったみたいなスタンスでしたが、結局性根は腐ってるので、コイツも人間として終わってる…。一生牢屋で良いんじゃないかな。

それから、カイルロッドが自分の出生を知るシーンでは、まだまだ謎が残りました。"あの方"が父だと思っていましたが、違うんでしょうか。あるいは、同じ顔の人物は父が作り出した何者かで、"あの方"が父である事実は変わらないという事なのか。

一応は、同じ顔の人物は"あの方"の力の一部を引き継いでいたようで、その力を使ってフィリオリに子供を宿らせた模様。この記憶が正しいのであれば、"あの方"というよりこの人がカイルロッドの父っぽいけど。赤メッシュは何かの伏線?

それに、"あの方"への対抗としてカイルロッドが生まれたというのは、ある意味では正しかったという事になるのかな。フィリオリは出産と同時に死ぬと理解しながら、この選択を取ったのは、これも愛だなと思います。

卵はどこから出てきた噂なのか分かりませんが、"あの方"が正真正銘の魔物であるならば、多少そういう影響もあったんですかね。

先ほど、同じ顔の人物は"あの方"に作られた?という話もしましたが、でも"あの方"の封印をしたのがこの人物だとすると、矛盾するような気もして、出自は別なのかという風にも思えます。

そんな力を持っていたこの人物は、結果とすれば、その力ゆえに恐れられ、神殿に謀られ悲劇の最期を送ったらしい。ですが、生まれたカイルロッドは幸いにも(?)温かく育てられ、温厚な性格になったのは感慨深いですね。

あとは、《第二の神殿》への移動中、何とか出産を終えたジュディの子に対し、カイルロッドはミランシャと名付けるのが切なかった…。

それから、トパックがメディーナに告白するシーンもありました。フラグになってなければ良いですが…。因みに、ティファは家族的な存在ですって。

今回のbest words

私の前でまで無理はしないで (p.190 メディーナ)

あとがき

まさかのティファがユーリン(1巻)の封印を解いたとのカミングアウトもありました。一歩間違えればミランシャが死んでたし、何ならあの村人達犠牲にしてるの割と重罪なのでは…。

冴木さんがあとがきに託けて、古切手とかの募集し始めてるの自由過ぎる笑。