今回は、司波達也暗殺計画3巻です。
司波達也は化物だろ…と言われ、名前だけの登場となり、また有希らが活躍するのは勿論のこと、新たなメンバーも加わってよりスピンオフらしくなってきました。
あらすじ
此度のターゲットは、国防陸軍の多中少佐、石猪少尉、USNAの新興軍需企業のエージェントのナオミ・サミュエル。『摩醯首羅』への報復とFLTへの打撃を加味して、司波達也の暗殺を企てていた。
若宮刃鉄は、自身の鉄シリーズとしての人体実験の復讐から、関わった軍人の殺害を目論んでいた。有希らと現場で遭遇し、お互いの邪魔をしない事で合意するが…。
感想
面白かったです。目的がはっきりしていて、前後関係も分かりやすく、ちゃんと勧善懲悪になってのも良い。
今回特に触れたいのが、仲間杏奈です。彼女は前巻で魔法の素質があった事でハナと生き別れて帰化した人物。そんな杏奈が今回は、多中少佐の側近として、つまり敵として出てきました。
ハナは前回有希の手によって死亡しましたが、杏奈が幸せだったかと言うと、全然そんな感じでもない。杏奈もまた生かされたとは言え人体実験の目に遭っている。
ただ、その効もあって石化の魔女として減速領域を使用する事が出来る。領域と言いながら杏奈の場合は不完全で、対象の物体のみとか10m圏内で5秒といった制約もあったようですが。超速で分身したように見せる攻撃で有希に敗北。
そんな杏奈は、人体実験をさせられた多中少佐にも関わらず、寧ろ忠誠を誓っているのが胸が痛い部分でした。こんな健気な少女を道具として利用した多中少佐は、本当殺されて当然だったし、そうなって良かったと思うばかりでした。
最後に有希からハナの名前を聞いて、マインドコントロールが和らいだのは唯一の救いかも知らないし、寧ろ杏奈にとって悲劇だったのかも知れませんが、まぁ後味が良くなかったのは確かですね…。
そして、今回登場したリッパーこと若宮ですが、こちらは杏奈と同様に人体実験の憂き目に遭い、復讐を原動力に動く一匹狼でした。高周波ブレードと達也ほど射程や威力は劣るものの術式解体を使う実践派(杏奈とのタイマンでは敗北)。
そんな訳で、有希らとターゲットは被っていて、協力すれば良いのに…というのは理想論ですが、自分の手で仕留めたいとか、裏切りも考慮して不干渉+別々に狙う形で妥結してました。
あとは、アニーこと姉川妙子も亜貿社の仲間として新登場でした。スナイパーとして、奈穂の指導にも当たった模様。まだ謎多き部分がありました。
石猪少尉は、亜貿社が四葉家の手中にあると知らずにいたのが死因で、ナオミに関しては、上手くカジノに潜り込んで倒れ込みながら有希が殺していた手口は鮮やかでした。
にしても、軍人の殺害は基地内だと警備の面で困難なもんなんだなーと。
今回のbest words
俺などまだまだだが、多少変わって見えているのだとすれば、全ては師匠のお導きだ (p.265 若宮刃鉄)
あとがき
亜貿社って思った以上に名の通った結社だったんだなぁと感じて、そうなると四葉家も抱き込むのが悪い手ではなかったのだと思いました。構成員は忍者のみという理念も良い。
有希、クロコ、奈穂に若宮を加えて、今後より困難な任務に当たっていく下地を作ったのは良かったですし、活躍も楽しみです。
ですが、一応の刊行はここでストップという事で、続きはどこで読めるかな…?