心和のラノベ感想

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WORLD END ECONOMiCA Ⅰ 感想

WORLD END ECONOMiCA


今回は、ワールドエンドエコノミカ1巻です。

ヴィジュアルノベルの小説版で鈍器の3部作の1巻目。基本的には株式投資をする話なんですが、これだけの要素で780ページ弱。それでいて面白かったです。

あらすじ

人類が月面に進出して16年が経った。月生まれの少年ハルは、汲々と労働で身銭を稼ぐ親に辟易したため家出をし、漫画喫茶のような店に身を寄せて株式投資に勤しんでいた。

店が数日閉まるということで追い出される形となったハルは、店員のセローの伝手で人類の最前線としては珍しい教会で過ごすこととなる。そこで、面倒見の良いリサや、ぶっきらぼうな黒服の少女ハガナと出会う。

感想

読み始めるまで躊躇していましたが、読み始めてからはサクサクと読めて面白かったです。これだけ長いページ数があって、序中盤は基本的に良い方向に進んでいっての最後の落差がかなり衝撃でしたね…。えぇ!ってなる笑。

正直なところ、5章までの368ページで区切っても良いかなと思っていて、丁度この辺りが展開としてとてもキリが良かった気がします。本当2.5〜3冊分読んだ感じですからね…。ただ、ページ数が多いからこそ無駄なキャラクターがいないですし、何かしらで話に必要になっていて、それに何よりハガナとの微妙な出会いからの、終盤の懐き具合の流れが素晴らしかったです。支倉さんはヒロインの造形が上手い。

リサのキャラクターも良かったです。ハルの汚めな口調を真似したり笑。ただ、物語の立ち位置としては、お人好しさで和む一方で、お金持ちはよりお金持ちになるし、その逆もまた然りといった形で、良い人だから幸せになる訳ではない象徴みたいだなと感じました。それに、リサの借金が物語のファクターにもなっていて。

一応大体の話の内容としては、リサの借金返済の為に、紆余曲折がありながらハガナの数学力を借りて、ハルの投資の腕と合わせて投資のコンテストに参加して、優勝賞金を狙うというもの。借金の話が大きくなる一方で、コンテスト2位の賞金では足りず、ハルはヘッドハンティングの一環で出来た大物投資家とのコネを頼りに投資をするも、裏切られて…という感じ。

信用買いや信用売りという用語も出てくるものの、基本は株が上がれば売って、安ければ買ってという単純な行動でしかないんですが、やはりお金が絡む分ハラハラしますね。アマーティの時の黄鉄鋼を思い出しました。

そう言えば、今作の貨幣単位はムールというものですが、1ムール=100円位で見ておけば良いのかなぁ?リサの膝枕は300万??笑

今回のbest words

当たり前でしょう?馬鹿なの? (p.410 ハガナ)

※地の文を脱して初の「馬鹿なの?」が出たシーン

あとがき

ボロボロになったハルが次回どう立ち上がるのかに期待です。ハガナがどこかに行ってしまって、取り立て屋からの回避の手段もあるのか分からないので不安しかないですが…。

読む前は何も分からない表紙が、読み終わるとこの少女がハガナで如何に可愛いかを知っている、というこの感覚が堪らない。