今回は、異能アピールしないほうがカワイイ彼女たち2巻です。
吸血鬼のミューデントで、金髪でちっちゃい生徒会長が登場しました。家族って大事だなぁという話でした。
あらすじ
朔夜がTCG同好会から賭け勝負で巻き上げられたカードの返還の依頼を受ける他、部室への関係のない物の持ち込みや借りパクの疑いで、生徒会からガサ入れが。現れた生徒会長の赤月カミラは、吸血鬼のミューデントで、何やら朔夜とは因縁があるようで…。
6月の文化祭に向けて、古森のクラスでは和カフェの準備が進む。朔夜は占いの館を1人進めていたものの、理事長から娘のカミラの呪縛を解き放って欲しいと依頼され、その解決策を模索するのだった。
感想
吸血鬼のミューデントのカミラを、中二病ならぬミュー二病から解放させる話でした。
物語の骨格とか、伏線を張ってそれを回収するような巧さが見られたのですが、内容的には前巻の方が面白かったかなぁと思いました。
今回の出来事としては、文化祭が大きなイベントとしてあって、それに託けて生徒会長の尊大さや抱えているものを破壊せよ!という感じでした。依頼主はカミラの母であり、一応裏ではカミラと朔夜の敵対もありました。
カミラに関しては、吸血鬼のミューデントなんですが、そのメリットはあまり開示されず、寧ろ飲血しなければいけないっぽいのがデメリットしかない…。
ただ、その吸血鬼の高貴さのイメージと、その発症タイミングの早さ故に自身も中二病キャラっぽくなっているのと、自分がミューデントと分かった事で、母の存在を周りに秘匿するようになってしまったようで。
というのも、カミラの母ミシェルは、学校の理事長である事に加えて、国際ミューデント人権機関の駐日大使らしく。娘がミューデントだからとか、そういった風評被害を母が受けるのを避ける為にそうしていると。
この作品を読んでいてると、否定的な意見をどういなすか、気にせず生きられるかという問題意識を感じます。肩肘狭く生きる必要はないとは言っても、それを実行するのも勇気がいるという。
さておき、そんな状況を正す為に、文化祭でミスコン的なイベントをねじ込み、朔夜とカミラの出来レースな言論対決が行われ、副会長の柊さんの協力もありつつ、カミラを呪縛から解き放ちましたよ、という感じでした。
演説ではカミラ普通に喋ってましたね…。生徒会の裏選挙ではカミラより朔夜の方が票が入っていたらしいという事で、多少の因縁があった2人でしたが、今回はカミラに花を持たせた形。
もう1つ大きなテーマとして、母親がありました。勿論カミラにとってもそうですし、朔夜も古森も。朔夜については、母からの愛情は自身の魅了によるものかと懊悩するという話でしたが、その真偽がどっちとも取れる一方で、まぁ実話なのかなとも思いました。
そして、特に古森の母はラスボスと文中でも言われるほどの存在で、最初の母の日の話から始まり、ラーメン屋での遭遇もありました。朔夜はその苦手意識から戦略的撤退をしてましたが笑。
ムーンダスト=青いカーネーションとは初めて知りましたが、この冒頭のシーンで、古森が少女に花を譲るシーンで、やっぱりその少女はカミラだったんだな…。それ故の買い被りみたいなものがあったという事でも、それをちゃんと母に報告してるカミラ可愛いな。
古森は、朔夜との例の一件で母とは距離を置いているというのが、前回の時点で分かっていた事ですが、今回出てきた古森の母(飛鳥)は、快活な美容師であり、全然間違った事は言ってなかった事が判明しました。古森の方が意地を張っていただけというか。思春期らしく。
ミューデントである事は、ただの個性として気に掛けないつもりでいながら、朔夜の事を守ってあげなければと思ってしまう矛盾。変わってないと思っても、現にあの殺傷事件が起きてしまって。
でも、それが古森のやりたい事で、朔夜の特別になりたいと思っているのであれば、貫くしかないとも思いました。
あ、和カフェ衣装の獅子原さん可愛かったです。カミラは異能アピールしないほうがマシだと思うけど、獅子原さんはその履き違えも含めて可愛いなーなんて思います。
文化祭には、古森母は来場したのかな…?
今回のbest words
常識的にわかるだろ!自分の体液を同意なく婦女子の体に注ぎ込んでおきながら、なんて無責任な男なんだ! (p.269 カミラ)
→このセリフを言わせたかったんだろうなぁ。
あとがき
最近の電撃文庫は値段を見ずに買っているのですが、改めて900円+税を見て驚愕…。
本のレイアウトが変わった事は周知の通りで、シュリンクがある時に裏表紙にあらすじがあった方が、というのはなるほどでした。