心和のラノベ感想

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マグダラで眠れⅢ 感想

マグダラで眠れⅢ


今回は、マグダラで眠れ3巻です。

筆者あとがきの通りウェランド回?笑 利子という名前のクースラらしく、はたまた商人らしく自分の目的最優先で動く一方で、フェネシスが鎹というか絆しとなる話でした。

あらすじ

カザンへと向かう前に、イリーネが工房にやってくるのだが、テキパキと錬金術師と遜色ない動きを見て、フェネシスは危機感を覚える。しかし、ウェランドの一言でクースラと旅支度を整える為に市場へと繰り出すと、放浪の民であったフェネシスは汚名返上とばかりに旅に纏わる知識を披露し、クースラを圧倒するのだった。

いよいよ出発の時になったところで、ウェランドに求婚する貴族の娘によって、ウェランドはグルベッティの地に縛られてしまう。助けを求められていないからとウェランドを切り捨てるクースラだったが、フェネシスは頑なにウェランドを諦めず…。

感想

今回は、フェネシスがイリーネと仲良くするまでの話と、ウェランド救出の話と、出発してからクースラとフェネシスが金の羊を探る話の大まかには3つでした。

直前まで寝食を共にしていたウェランドを容易に切り捨てるという、ある意味でビジネスライクで効率的なクースラに対して、駄々を捏ねるフェネシスという構図があった訳ですが、クースラがフェネシスを好き過ぎるので(笑)、折れるしかないという。

にしても、確かにウェランドは出番がそんな多い訳ではないものの、意外と周りから好かれるおいしいキャラでしたね。フェネシスは仲間を安易に切り捨てられないという出自からの理由もありそうですが、イリーネですら助けようって感じでしたし。女誑しであろうと、行動を繙くと確かに優しい面が見えてくるんですけど。

それから、フェネシスがクースラに助けられてるだけあって、クースラに過大な期待をしてしまってる面もあるんでしょうね。

それで、今回の錬金術テーマとしては、死体の復活。この命題もそうですし、鉛を金に変えるのも眉唾ものとして本作では語られているので、やっぱり今回も見せかけ又ははったりになる訳で。序盤で出てきた水銀の突沸の話題が生かされる展開は良かったです。死んだ鶏に流し込んで筋肉を動かした的な。

そう言えば、フェネシスがクースラの為に火傷治しを買ってたというのも良きでした。とまぁ、そんな見せ物があって、ウェランドも何とか旅程に同行できたと。

そしてその後の旅程の途中で、クースラとフェネシスは流浪の民の検閲的なことを指示される訳ですが、結果として黒だったものの、クースラはフェネシスを慮って、同じ境遇の者達を告発することなく、穏便に収めたってな感じか。

ここで面白いのが、フェネシスが素っ気ない態度を取っていたのが、クースラを欺く為だったという所で、惚れた側の弱みというかクースラは、フェネシスを捨てられないんだなと。守るべきものが出来ると行動が制限されるというのをよく表していたなと思います。

今回のbest words

私は、あなたの相棒ですからね (p.306 フェネシス)

あとがき

フェネシスの成長も見られる巻でした。悪く言えば少し小生意気になったとも言えますが笑。斜め後ろではなく横に並び立てるように。

次回は目的地のカザンが異教徒の土地では無くなることで、攻め入る理由がなくなってどうする?という展開になるようです。今更イリーネとかは引き下がらないですし…。