心和のラノベ感想

1ヶ月15冊読了目標!

昨日の春で、君を待つ 感想

昨日の春で、君を待つ


今回は、八目迷作品の2作目「きのうの春で、君を待つ」です。表紙とかを見ても、最近のラノベは少しお洒落になったなぁと感じます。一昔前のラノベというと、"萌え"が押し出されている作品が多かったと思いますが、ラノベも純文学に近付いているのでしょうか。

今作も、夏トンのように時間移動ありな設定になっています。個人的にはタイムリープものが好きで、正にこういう展開のものが読みたかったという感じでした。読んでてウラシマ効果も体感できました笑。

あらすじ

4/1、高校から上京していた船見カナエは、父との喧嘩から家出をして祖母と妹の住む袖島へと単身戻って来ていた。そして、沈鬱な表情をした幼馴染であり、初恋の相手の保科あかりと再開する。

あかりと別れた後、島内を散歩していると寂れた公園に祠があることを見つける。そのご神体の石に触れた瞬間、カナエの意識は4/5に飛んでいた。4/5になって、あかりの兄である彰人が亡くなったことを知る。そして、あかりから1日進んで2日戻るロールバック現象であることを教えられ、カナエは情報収集をしながら彰人を救うため奔走する。

感想

章と章の間にある間章がとても良い。そして、小出しの情報で徐々に話の全体像が見えて来る感じも良かったです。普通、初めて読むラノベを読み始めた時は、その物語の設定を理解するまでは苦労したりするものですが、今作はスルッと内容が入ってきて、とても読みやすかったです。

未来は知ってるけれども過去は知らない主人公と、過去は知ってるけれども未来は知らないヒロインという設定もいじらしくて良かったと思います。終盤に行くに連れて、あかりがどういう理由で行動していたか分かるようになるという。同時に、助けようとしていた彰人選手の人柄も分かってしまうというのは皮肉ですが。

この物語を読んでいて、月日で変わってしまうものもあれば、変わらないものもあるのだと気付かされました。そして、筆者があとがきで言っていた、傷付くとしても気持ちを伝えないと伝わらないという部分も共感できました。

あとがき

ハッピーエンドに収まって良かったなと思います。あれだけ苦労しているのであれば、宝籤に関しては誰も責めないでしょう。過去を知った上で彰人を助けたカナエも偉いですよね。

次は、ミモザの告白読みたいと思います!何か八目迷さんの作風が自分に合ってる気がするなぁ。

2022.1.10